report: lounge logue 04

2012年 03月 28日   /   lounge logue, report
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3月24日、4回目のlounge logueは、編集者で『はじめての編集』(2012年/アルテスパブリッシング)を出した菅付雅信さんをむかえ、これまでと趣をかえてレクチャーをおこないました。予定を超えて2時間半以上、キーワード、写真、映像400枚以上の画面を次々とゼロベースの壁面に映して進むレクチャーは、まさしく息をつく暇がない様子でした。

講義録をもとに書かれた『はじめての編集』を、ビジュアル豊かに再構成・再圧縮したレクチャーは、本を読んできた方にとってはビビッドな復習になったでしょうし、未読で参加した方にとっては速読のごとく頭に注入された体験になったことでしょう。最初「こんなに本の内容を話したら、売れなくなるのではないだろうか?」とも思ったのですが、レクチャーが終わってみれば、情報の多さに脳が熱を持つような感覚で、落ち着いて本を読み返したくなったのでした。

そのことを菅付さんが意図していたかどうかはわかりません。もちろん本が売れるのは大事なはずですが、おそらく、それをねらってあの勢いで語り倒したのではないでしょう。あれは、言うならば「編集中毒」といえるものではないでしょうか。無限とも思われる編集の可能性に魅せられた人の、知識や技術、経験の先にあるものにふれようとする行為。だから、「はじめての」などという言葉に惑わされてはいけません。本の形に蒸着されているがために影をひそめていた、彼の中毒ぶりが会場に蔓延していたのでした。真に編集の力をつけることを目指すならば、その勢いに呑まれず問い返すのが次のステップなのかもしれません。