report: lounge logue 03

2011年 12月 27日   /   lounge logue, report
IMG_9024

3回目となるlounge logueは、東北芸術工科大学美術館大学センター主任学芸員/東北復興支援機構ディレクターの宮本武典さんをむかえました。かねてから東北芸術工科大学での仕事については知っている方ですが、東日本大震災後に立ち上げた東北復興支援機構での「福興会議」や「スマイルエンジン山形」など、私たち自身が当事者でありながら全体を把握できない日々を過ごすなか、どうやってあれほどのプロジェクトを動かしているのか、そして、その現場から見えたものについて直接聴いてみたかったのです。

今回の参加者はアートプロジェクトに関わっている方や東北芸術工科大学の卒業生が多にも関わらず、プロジェクトの作品に対する批評についてほとんど触れない対話をしてしまいましたが、この9ヶ月のあいだ関わった地域や人々の話は、アートの領域にとどまらず「現場の知」として興味深いものでした。参加者からあがった質問に十分に答えてもらう時間がとれなかったのが心残りではあります。

 

この回を設ける前、logueメンバーでの打ち合わせで「宮本さんはどんな人?」とたずねられたとき、「情熱と、誠実さと、したたかさを持った人のように思う」と答えた記憶があります。したたかさ、という言葉はあまり快い意味ではとられないかもしれません。タフ、という方が良いような気もします。しかし、これまでとは違う日常、何をしてもなんらかの意味では他者を傷つけたり間違いとならざるを得ない日常で、従来通りの結果の穏当さや主張の正しさだけを求めて思考停止する組織やシステム(とそれに依拠した人々)との対比という点で、やはり宮本さんはしたたかさを備えた人物だと思いました。